2014年5月22日木曜日

サムライサコッシュについて

自転車市庭Vol.3でお披露目を行い、大きな反響をいただいたサムライサコッシュ。そこではプロトタイプのそれを販売させていただき、少ないない数のお客さまにお買いあげいただきました。当日足を運んでいただいた皆さん、お買いあげいただいた皆さんに、この場を借りて深く御礼申しあげます。
そのサムライサコッシュのプロトタイプである「市庭Edition」を、TOMOKABAN STOREで早速お買いあげいただいたお客さまに、それに触れて感じていただいたことをご自身のブログでお書きいただきました。その内容は…わたしたちのサムライサコッシュについて感じたことを、ストレートかつ仔細に書かれたもので、とても嬉しくありがたい気持ちになることができました。
そのブログの中で、サムライサコッシュについての考察をかなり深く行っていただいてます。これがもう、わたしたちが公式の場でそのまま使わせていただきたいと思うほど素晴らしい内容なのです。
その中でサムライサコッシについていくつかの疑問を挙げていただいてますので、それにお答えさせていただく意味も込めて、以下で少しお話させていただければと思います。
sacoche forで、そのサコッシュのストラップをどうするかかなり迷わされ、最終的に本体と同じ倉敷帆布をテープ状に縫ったものを使うことになり、本体からストラップまで同じ素材になったことでsacoche forには見た目も含めた大きなアイデンティティが与えられることになりました。
それでも、sacoche for以降の製品展開を考ていたわたしたちは、そのストラップの素材として相応しいものはないだろうかと常々考えていました。
そんな時出会ったのが、Yumeno Cyclesさんからご提案いただいた真田紐でした。
真田紐は、戦国武将、真田幸村とその一族が刀の柄に巻いたことで知られる日本の伝統工芸品です。それは、太い糸を使い縦横に織ってつくられているから、程よい厚みがあり、伸びることもほとんどありません。
その真田紐をサムライバーテープの名で自転車のバーテープとして活用することを提案していたYumeno Cyclesさんから、サコッシュのストラップに使ってみませんかと提案されたのです。
早速、現物を拝見してみると…
それは、偶然にもわたしたちがつくるサコッシュのストラップとまったく同じ幅のものでした。
紐の幅が同じなら、いま使っているバックルやサスペンダークリップがそのまま使えるわけで、渡りに船と早速試作してみることにしました。
また、Yumeno Cyclesさんに真田紐のサンプルをお送りいただいた際に一緒に届いた試作品だというサコッシュが、真田紐をボタンナップで留める方法を採用していたのを目にして、コレダ!とひらめき、ボタンを使って簡単に着せ替えのできるサコッシュをつくることにしました。
sacoche forで実現していた簡易なクロスストラップ機構を、ぜひこの試作品に盛り込みたいと考えたわたしたちは、これを別パーツにし、それをボタンナップで長さ調整できるようにしました。
ボタンは、サスペンダークリップに合わせるためとボタンホールを通しやすくしようと考えて、つるんとした形状で、かつ確実に固定するため適度な厚みがあるものを採用しました。
ストラップとクロスストラップには、ボタンホールを複数設けて、これによって長さ調整を行うようにしています。
ボタンホールの位置などについては、異なる体格の方に実際に試していただいて決定したものです。ストラップが肩から落ちないようにクロスストラップ側のボタンホールも使って調整してやれば、大きくない体型の方にもお使いいただけると思います。
サスペンダークリップとボタンナップを採用したことで、サムライサコッシュのクロスストラップを、とてもシンプルに仕上げることができました。
sacoche forもそうですが、マチのないサムライサコッシュには大きなものや重量物を入れて使うことを想定していません。ふたつのサコッシュのストラップの幅が狭いのも、これを理由にしています。
倉敷帆布を四重に重ね縫ったsacoche forのストラップと較べると厚みが少ない真田紐と組み合わせるにあたって、サコッシュ本体は倉敷帆布を一重で使い、裏地やポケット、マグネットホックも付けずに軽やかに仕上げようと考えました。
これによって83gしか重量がない軽いサコッシュができ、sacoche forの148gから大幅な軽量化を実現しています。
また、マグネットホックやマジックテープで口を閉じない仕様のため、sacoche forのデザインとは違う縦に長いものにして、中に入れたものが飛び出しにくいようにしています。
クロスストラップを固定する方法として、sacoche forと同様にサスペンダークリップをサムライサコッシュでも使用しています。このサスペンダークリップは元々ズボン吊りに使われることを想定したものですから、厚みがあるものを挟むのには向いていません。幸いなことに、サコッシュなら本体にマチ(厚み)がないため、サスペンダークリップでも上手く挟めるわけです。
このサスペンダークリップを留める位置に、それがくわえ込みやすいように、タグ…布か皮革でつくったベロのようなもの…を付け加えることも検討し試作も行いましたが、ソリッドなデザインが損なわれるのと、そうすることでかえって留めにくくなることなどがわかり、それは行っていません。
わたしたちがsacoche forをつくった時に倉敷帆布や播州織といったブランドの国産の生地を使ったのは、素性の知れないものを使いたくないと考えたからです。それらはとてもしっかりとしたもので、sacoche forを存在感があるものにしてくれました。それはサムライサコッシュとして倉敷帆布を一重で使っても同じことで、ただの袋ではないと感じさせるものになっているのではないかと思います。
TOMOKABANのサコッシュが、日本の伝統工芸品の真田紐と出会って生まれたサムライサコッシュ。そのネームタグに刻んだ「made in japan」の文字に恥じないものになりました。もちろん、TOMOKABANのアトリエでひとつひとつ縫製していますので、そのサコッシュは紛れもなく「made in japan」なのです。